217人が本棚に入れています
本棚に追加
「おや、あの病院はあなたの家だったんですか? じゃあ院長先生?」
「いや、俺は廃病院に住み着いたホームレスだったんだ。確かにあの廃病院に幽霊はいた。だがこちらが大人しくしていれば危害は加えてこなかった。だから俺は静かに住んでいたんだ。
それが心霊スポットだと話題になって、夜中に突然人が来るようになったんだ。寝てる所を起こされ、せっかく片付けておいた物をグチャグチャにされ、酷いヤツはそこら辺で立ちションして行ったんだ。いったいどういう育ち方をすればあんなふうになるんだ?」
幽霊さんのオーラが濁ってきた。顔つきも険しくなってきた。これはヤバい。悪霊化してしまう!
(セイラ、セイラ!)
私はセイラに心の中で呼び掛けた。セイラはちらりと私を見た。
(幽霊の1人が悪霊化してるの。毛瀬に祈るように言って)
セイラはちらりと毛瀬を見た。毛瀬は光にしがみついたまま震えていた。セイラは私に向かって小さく首を振った。「使い物にならないわよ」と。
毛瀬をゲストにした意味が消え失せた。仕方がない。私がやるしかないか。
最初のコメントを投稿しよう!