本番!

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「おや、あの病院はあなたの家だったんですか? じゃあ院長先生?」 「いや、俺は廃病院に住み着いたホームレスだったんだ。確かにあの廃病院に幽霊はいた。だがこちらが大人しくしていれば危害は加えてこなかった。だから俺は静かに住んでいたんだ。 それが心霊スポットだと話題になって、夜中に突然人が来るようになったんだ。寝てる所を起こされ、せっかく片付けておいた物をグチャグチャにされ、酷いヤツはそこら辺で立ちションして行ったんだ。いったいどういう育ち方をすればあんなふうになるんだ?」  幽霊さんのオーラが濁ってきた。顔つきも険しくなってきた。これはヤバい。悪霊化してしまう! (セイラ、セイラ!)  私はセイラに心の中で呼び掛けた。セイラはちらりと私を見た。 (幽霊の1人が悪霊化してるの。毛瀬に祈るように言って)  セイラはちらりと毛瀬を見た。毛瀬は光にしがみついたまま震えていた。セイラは私に向かって小さく首を振った。「使い物にならないわよ」と。  毛瀬をゲストにした意味が消え失せた。仕方がない。私がやるしかないか。
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