本番!

7/42
前へ
/468ページ
次へ
 これは故意だ。わざと霊たちに関係のある映像を流し霊たちを怒らせているのだ。  幽霊さんたちの名札は局で保管してもらっていた。なのでその名前から生前の事を調べることはできるかもしれない。いや、偽名を使っている者もいる。それにホームレスなどで居場所を転々としていた時の事は調べても分からないだろう。だとすると名前から本人を霊視して素性を調べるしかない。そんな事ができるのは……桜しかいない。  桜、何を企んでいるのだ?  前半の恐怖映像コーナーは終わった。もう観覧席は黒いモヤで充満していて私には中が視えない。まるでガラス張りの喫煙所のようだ。  CMになると私は急いで控室に向かった。桜を問いただしたいがそんな時間はない。ならばせめて結界の扉を開くようにお願いしよう。あの中に閉じ込められていたらまともな霊も悪霊化してしまう。結界さえ開けば私が浄化できる。 「桜さん!」  控室の扉を勢いよく開けた。 「あ、愛ちゃ〜ん! いよいよ私の出番だね。武者震いしてきたー!」  そこには巫女姿の鮪子さんだけがいた。
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

217人が本棚に入れています
本棚に追加