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ディレクターがもたもたしているうちに再び鮪子さんに異変が起きた。バッタリ倒れたかと思うとムクリと起き上がりあぐらをかいた。そして思い切りカメラを睨みつけた。
「我が積年の恨み……晴らす時が来た……」
鮪子さんがスタジオに低音ボイスを響かせた。
「あなたはどなたですか?」
アナウンサーが恐る恐る尋ねる。
「我が名は道満、蘆屋道満だ」
道満登場〜〜!?
「まさか! 蘆屋道満というとあの蘆屋道満ですか?」
「呼び捨ては許さん!」
鮪子さんの怒声とともに床の間の掛け軸がいきなり床に落ちた。落ちた拍子に掛け軸が開き、そこに描かれていた幽霊の目が大きく見開かれた。
「危ないです! 私が除霊します!」
「何を言っているのかね、栗本さん。こういう時のために桜がいるんじゃないか」
社長は楽しそうに笑顔で様子を見ていた。
そりゃあなたたちは子孫だから危害を加えられる事はないかもしれない。しかし光もセイラもどん引きしている。毛瀬は光の座っている椅子の下に潜り込んだまま出てこない。アナウンサーは恐怖と戦いながら決死のインタビューをしている。
「……私が!」
「栗本さん、ご苦労だったね。もう帰っていいよ」
「え?」
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