本番!

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「夜の天気予報の準備があるだろう。もう行きなさい」 「でも!」 「柳生くん、栗本さんをスタジオの外にお送りしてさしあげなさい」 「かしこまりました。さあ」  秘書さんは私の腕をガッシリ抱え力ずくで私をスタジオから引きずり出した。見かけによらず凄い力だ。私の方が若いのに抵抗できなかった。 「離してください! 何とかしなきゃ、私じゃなきゃ彼らを助けられません! 桜じゃダメです!」 「何故? 何故桜さんじゃダメなの?」 「だって……だって桜も社長も蘆屋道満の一族ですから!」  言ってから後悔した。こんな事秘書さんに言っても何もならない。逆に秘書さんは社長の手下だ。こんな事を言ったらなおさらスタジオに帰してもらえない。 「だったら、私を倒してから行きなさい」  秘書さんは眼鏡を取りお団子にしていた髪をほどいた。 「さあ、何処からでもかかってきなさい」  鋭い眼光、逆立つ黒髪。秘書さんは本気だ。でも秘書さんを倒さなければ幽霊たちを助けにも行けない。
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