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「……摩訶般若波羅蜜多心経……」
私は合掌し般若心経を唱え始めた。私は仏様と繋がっているのだ。こんな悪魔憑きになんて負けるはずがない。
「……般若心経……エイッ!」
私は秘書さんに向かって九字を切った。悪霊退散! 悪魔退散!
「う……」
私の攻撃に秘書さんは崩れ落ちた。苦しそうに胸を押さえている。
「大丈夫ですか!?」
慌てて秘書さんを抱き起こした。すると後ろから氷よりも冷たい霊気が。振り向くとそこには悪魔がいた!
「……!」
恐怖で体が固まってしまった。声も出ない。
「これがあなたの弱点なのね」
秘書さんはぱっちり目を開け呆れたように言った。
「栗本さんは悪魔に弱いのね。他の悪霊たちは平気なのにね」
平気なんかじゃない。慣れてるだけだ。怖いことは怖い。でも元は人間。話せばわかる。話してわからなかったら仏様に任せれば良い。しかし悪魔は元天使。神の使いに人間が適うわけがない。
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