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なる。恨んで当然だ。その怒れる魂をずっと桜の神社で祀り鎮めていたのか。
でもそれなら先輩が危ない。スタジオには先輩がいる。先輩が標的にされてしまう!
「離して! 先輩を助けに行かなきゃ!」
私は藻掻いた。悪魔は私を離さない。暴れても殴っても離さない。こうなったら、と私は悪魔に噛み付いた。
(イテッ! 乱暴な娘だなあ)
「離すまで乱暴してやる! エイッ!」
私は噛んだ。悪魔の手を、胸を、指を。
(ヒー、やめてくれー)
「やめて欲しかったら離しなさい!」
(ダメだ)
「何でよ! アンタも社長の手下なの?」
(いや、俺は柳生一族だ)
「は?」
秘書さんがプッと吹き出した。
「上手いこと言うわね。そう、この悪魔のルーちゃんは私の手下。眷属よ」
「え!?」
悪魔が眷属? そんなの聞いたことない。
「陰陽師は鬼さえ眷属にできるのよ」
それは知ってる。悪さをした鬼を眷属にした陰陽師が古にはいたという。でもその陰陽師は鬼よりも力がなければ鬼に食い殺されてしまうという。
「え、じゃあ秘書さんは陰陽師? それも悪魔を従えさせるほど力のある?」
え、え、えー?
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