本番!

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「私たち陰陽師は成仏させる事はできません。なので栗本さんにお任せします。どうぞ可哀想な霊を成仏させてあげて下さい」 「私に出来るでしょうか」 「あなたにしかできません」 「でも……」 「栗本愛!」 「はい!?」 「僧侶のお面をかぶるのです。あなたは今から優秀な僧侶です。悪魔にも動じない強靭な精神力の持ち主です」  僧侶のお面……。 「行くのです」 「……」  私は僧侶。優秀な僧侶。今まで一番怖かった悪魔でさえ克服できた。もう怖いものなんかない。私の役目、それは成仏させること。私は僧侶……! 「行ってまいります」  数珠を軽く握り私は控室を出た。心の水面には波ひとつ立っていない。穏やかだ。さあ、いざ舞台へ。
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