本番!

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 スタジオは静まりかえっていた。怖さ半分驚き半分の顔で皆鮪子さんに注目していた。さてこれはどういう状況なのだろう。 「じゃあ清明という人はずる賢くて道満さんどころか帝も騙すような大嘘つきなんですね。そして女子どもにも容赦なくてアッサリ捨てちゃうような冷血漢なんですね?」  セイラが私の考えを読んで道満ジュニアの話をまとめて話してくれた。 「そうだ。そんな酷い人間が注目を浴び、現在ではアイドル視されている。歴史を正さなければならない」  鮪子さんはキッと先輩を睨んだ。先輩は桜の後ろで呆然と立ちつくしていた。 「それに引き換え道満は追い出された清明の妻子を引き取り我が子として育てた。そして陰陽師の術も市井の民のために使い、病気の治癒や晴れ乞いをしたり悪霊を追い払ったりしていた。清明みたいに帝のご機嫌をとってきらびやかに贅沢になんて暮らしていなかった。慎ましく質素に、それでも愛に溢れて暮らしていたのだ」  社長は腕を組みウンウン頷きながら様子を見ていた。そろそろ私の出番だ。 「それは素晴らしいお父様でしたね」  アナウンサースクールでの発声練習が物をいう。私は腹式呼吸の発声法で大きな声でハッキリと声を出した。 「誰だ? お前は?」  鮪子さんが私を見た。純粋で明るい鮪子さんの目ではない。恨みと憎しみのこもった寂しい目をしていた。
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