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「私は愛福寺副住職です」
の役のお面を被ってるのだ。
「寺の坊主か。何の用だ?」
「あなたを成仏させに参りました」
慌てたのは社長だった。ディレクターに「あんなの台本にないだろう!? すぐにつまみ出せ!」と命令している。しかしディレクターは迷っていた。
「でもあと30分で番組は終わりです。収拾をつけるためには成仏させてもらった方がいいんじゃないですか?」
おおディレクター、社長に意見をするとはいい度胸だ。
「君、帰りなさい。あとは私が……」
ディレクターに最後通牒を突きつけようとしていた社長が突然止まった。社長を悪魔のルーちゃんが羽交い締めにしていた。しっかり口も押さえている。秘書さんグッジョブ。
「僧侶など必要ありません。陰陽師は陰陽師の手で始末しますので。それが筋です」
桜がきっぱりと言い切った。桜はもちろん私だと分かっている。
「陰陽師殿。陰陽師の術では成仏させる事はできないのではないんですか?」
悪霊退散や封印はできても桜には根本的解決となる”成仏させる”事はできない。全国津々浦々の視聴者さんも納得できる解決、それは成仏だ。
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