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「じゃあ悪霊のお面を脱いで元の善良な人格に戻るって事なんですね!?」
突然セイラが天然キャラ全開で大声を出した。
「そうです、その通りです」
「じゃあ早く悪霊のお面を脱いで元の自分に戻れるといいですね!」
セイラは桜を見、私を見、秘書さんを見、そして責めるような目で私を見た。
お面……お面! 私のお面が脱げて素の自分に戻っている! 桜の言葉に納得してしまいお面が外れてしまったのだ。それに気付いた秘書さんの思いをセイラが読んで私に教えてくれたのだ。
私は顔を右手で覆った。そして強く押さえた。大丈夫、もう外さない。私は女優……いえ僧侶。
「先ず御本人の意見を伺いましょまう。それが一番良いのではないですか?」
私の言葉に鮪子さんが一瞬顔を輝かせた。そして俯いた。
「俺は……俺は憎いんだ。俺を捨てた清明が憎いんだ」
さっきよりも迫力が弱くなったような気がした。
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