本番!

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「この後陰陽師殿と私で丁重に弔わせて頂きます。きっとそれで成仏できるでしょう」 「おう、そうですか。それは良かった」 「残るは観覧席の霊たちですね。では私と陰陽師殿の共同作業で浄霊させて頂きます。さ、陰陽師殿」  私は桜の横に立った。そしてこっそり「フリだからね。本当に術を掛けたら全部バラすからね」と釘を刺した。桜は不承不承祈祷するフリをした。 「おお、皆さん極楽へと昇って行かれました。私ひとりではとても無理でしたが陰陽師殿がいて下さったので成仏させる事ができました。さすがです、陰陽師殿」  私は桜の手を握った。桜も握り返してきた。女性陰陽師と尼僧とのにこやかな握手シーン。 「何だかスタジオの空気が爽やかになった気がしますね」 「本当に。いや、凄いものを見せて頂きました。人に歴史あり、幽霊もしかり、でしたね」  ゲストの3人にもひと言ずつコメントをしてもらい、エンディングテーマが流れ始めた。時間配分バッチリだ。 「ではまたお会いしましょう!」  アナウンサーがそう締めくくり番組は終了となった。 「カーット! お疲れ様でした!」
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