本番!

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 プロデューサーが満足そうに声を上げた。そしてスタッフたちが機材を片付け始めた。 「……まだ終わっていません。無理矢理番組を終わらせただけです」  私は数珠を握りしめた。 「そうよね。こんな茶番さっさと終わりにしましょう」  桜が私に詰め寄った。 「シナリオぶち壊してくれて、どうもありがとう」 「そっちが先に変更したんでしょ?」  私と桜の間に火花が散った! 「大和、鏡を返して。それはうちに持って帰るから」 「え? だってこの方はうちのご先祖様で……」 「違うわ。うちのご先祖様よ!」 「でもうちに来ることを望んでいるんでしょ?」 「望もうが望むまいがうちのご先祖様なんだからうちに連れて帰ります」 「ならいっそのことふたりが一緒になればいいじゃないか」  悪魔の拘束を解かれた社長が話に加わってきた。 「それで全てが丸く収まる。そうじゃないかね?」  社長は自分が仲人をしてあげるとまで言い出した。  違う、社長が丸く収めようなんて思っているはずがない。何か魂胆があるはずだ。社長の言う”積年の恨み”と清明の息子の”積年の恨み”とは違うはずだ。
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