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「桜さん、観覧席の結界解いてもらっていい?」
家族ぐるみの輪の中に入るのは勇気がいった。でもこのままにしておくわけにはいかない。
「あ、そうだよね。桜さん、結界解こうか、2人で」
有り難くも切なすぎる先輩の言葉に涙が出そうだった。2人は私の目の前で仲良く印を組み仲良く真言を唱えた。
このまま私も消して欲しい。そう願ったがその願いは叶わず、私の周りに幽霊さんたちが集まってきた。
「ちょっとこれはどういう事!?」
「全然台本と違うじゃないか!」
クレームの嵐。返す言葉もない。私がしょげ返っていた時だった。鮪子さんがバッタリと倒れた、と思ったらムクリと起き上がった。
「まあ皆さん、生放送にトラブルは付き物。それがまた生放送の醍醐味であります」
鮪子さんは皆を説得すべく演説を始めた。
「あ、もしかしてフロイトさん?」
「はい。やっと出番が来ました。でも番組は終わってしまいましたけれども」
鮪子さんは紳士的に微笑んだ。
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