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「すみません! せっかく予定していたのに」
「いえ、良く考えたら私には全国の皆さんにお伝えするほどの話はありませんでしたから。恥をかかずに済みました」
なんて紳士的なんだ。
「さて、では愛さん。私を成仏させてください」
「え? いいんですか?」
「今日の放送を見て分かりました。いつまでもこの世にいても何にもならないって。その、清明さんの息子さん、ですか? 恨みつらみを持ったままこの世に100年以上いたって事ですよね。時間の無駄です。さっさと成仏していれば今頃生まれ変わって楽しく暮らしていたかもしれないのに。
それなのにまだ封印されてこの世に縛り付けられるんですか? お可哀想に。いくら神と崇められても生き地獄、いや、死に地獄……」
桜が鮪子さんを睨んだ。
「そうですよね。せっかく苦しみから解放されたんだから極楽浄土に行った方がずっと幸せですよね。下手に神と崇められるようになったらまた悩みが増えちゃいますよね。無茶な願い事とか金儲けのタネにされちゃったりして。人間に神の役なんて荷が重すぎですよね」
このくらいの嫌味言っても許されるだろう。本当はもっと言ってやりたい! ボロクソに!
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