本番!

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 周りを見ると社長も先輩も、プロデューサーさんもスタッフさんたちも目を点にしていた。 「名札が……ポトッて落ちた……」 「え? マジで幽霊が名札付けてたって事?」 「この名札の数だけ幽霊がいたの!?」 「えーー!」  今更何を言っているのだ。スタッフたちは信じていなかったのか? テレビってそんなにヤラセばっかなのか?  まあ取り敢えず私の役目は終わった。人間引き際が肝心だ。というか私は早く帰って泣きたい。まさか先輩を取られてしまうなんて思ってもみなかった。それも桜に。今年は女難の相だって言ってたくせに。誰とも付き合わないって言ってたくせに。一緒に初詣行こうって言ってたのに……。 「鮪子さんお疲れ様」  私は鮪子さんに声を掛けた。3人の口寄せをして疲れているだろう。早く休ませてあげなくては。 「……愛さん、久しぶりです!」 「え、え? 鮪子さん?」 「違います。鳳です。鳳華です」 「幽霊さん!?」  その名を聞いて一番反応したのは社長だった。一瞬にして真顔になった。
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