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「じゃあ僕たちも帰ろうか」
「そうね」
「え……その鏡は」
「もちろんうちの神社に持ち帰ってお祀りさせて頂きます」
「持ち帰って……」
「持って帰るってことです。さあ大和行きましょう。早く着替えたいわ」
「そうだね。じゃあね愛ちゃん、お疲れ様。天気予報頑張ってね」
先輩は桜と連れ立ってスタジオを出ていった。桜を気遣うように……。
「愛、マジで遅れるぞ」
1ミリも空気の読めない毛瀬が急かした。
「分かってるわよ! 幽霊さん……」
「愛さん、お仕事頑張って下さい」
「でもせっかく来てくれたのに」
「大丈夫。私はもう自由になったのでいつでも愛さんに会いに来られます。だからお仕事に行って下さい」
「本当に?」
「はい。それにこのイタコ様、大分お疲れのようです。休ませてあげなくては」
「あ、じゃあ仮眠室で休んで貰って下さい。私仕事終わったら行きますから」
「そうですね。そうします」
幽霊さんに取り憑かれたままの鮪子さんがふらふらとスタジオから出ていった。
「じゃあ俺も帰る。仕事頑張れよ」
「うん。光お疲れ様」
「私も帰ろっかな」
「セイラもお疲れ様」
「……愛ちゃんの彼氏、大根だね」
「え?」
「ふふ。またねー」
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