真相

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真相

 仕事が終わり仮眠室へ来ると鮪子さんは高いびきで寝ていた。相当疲れたのだろう。 「お疲れ様でした」  優しい笑顔で労ってくれる幽霊さん。いや、もう成仏したのだから幽霊ではないのかな。成仏したせいか以前より透明感が増したような気がする。 「鮪子さんの守護霊様もお疲れ様でした。ありがとうございました」  私と華さんで鮪子さんの守護霊さんにお辞儀をした。 「現役の頃はこんな事日常茶飯事だったのよ」  厳しそうな守護霊さんだと思っていたが普段は普通のお婆さんだ。 「それよりも、何やらこのテレビ局、禍々しいですねえ」  守護霊さんが眉をひそめた。 「はい。ご迷惑おかけします」  華さんがすまなそうに頭を下げる。 「え? 何で華さんが謝るんですか? 華さんは閉じ込められた被害者じゃないですか」 「そもそも私が女優なんて目指したのが悪いんです」 「まさに美しさは罪……ですね」  華さんと守護霊さん2人は全てを理解しているようだ。 「私にも教えて下さ〜い!」  華さんは居住まいをただし麗しい唇を開いた。  
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