真相

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「華さんも元社長の家に入ったんですか?」 「まさか……敷居が高すぎて一歩も入る事はできませんてした」  想像に難くない。旦那の愛人を快く家に上げる奥さんなんているわけがない。ましてや綺麗でおしとやかで女優で。妻だけではない。本家が神社の家系なのに愛人に子どもを産ませ家に住まわせようなんて、氏子に顔向けできない。親族一同から猛反対されただろう。  そして華さんは息子だけを元社長に託し自分は修道院に入った。元々敬虔なクリスチャンでもあり、俗世から隔絶されているのでマスコミに追われる事なく過ごせた。華さんにはうってつけの場所だった。寂しいながらも息子の幸せを祈りながら平穏に暮らしていた、そんなある日。  華さんがスーパーに買い出しに出た時の事だった。 「華、久しぶり」  華さんが外出する機会を調べ上げたのだろう。元社長がスーパーの前にいた。慌てて逃げようとする華さんの腕を掴み元社長は言った。 「満義(みつよし)が悪魔に取り憑かれているみたいなんだ」  ずっと会えずにいた愛する息子、満義。その満義が悪魔に取り憑かれている!? 
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