真相

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 禁足地。それは文字通り足を踏み入れてはいけない土地の事だ。災いがおきた場所だったり、そもそも神の土地で人間が踏み入ってはいけない場所が禁足地となる。 「ここは?」 「ここはとても禍々しい場所です」  古来よりこの地は血を好む土地だった。合戦の地だったり処刑場であったり。 「それに目を付けたのが道満でした」 「道満!」  清明と肩を並べるほどの陰陽師、道満。この地の禍々しさはすぐに見抜いた。誰も住みたがらないこの土地に住み着き、いつか清明に仕返しをしようと考えていた。 「いい人を装って病気の民の治療をしたり祈祷をしていました。患者はその場は治り一旦回復して帰って行きました。しかしその患者はしばらくして事故や事件、災害に巻き込まれ命を落とします。その亡骸もこの地に葬りました。自分が供養してあげると言って」 「それって……」 「道満は患者に式神を付けたのです。治療なんて何もしていません。患者は式神がついたせいで元気になったように見えただけです。そしてその後式神が事件を起こす……」 「何のために?」 「生贄です。この地の主である悪霊への生贄なのです。そして悪霊の助けを借り日本を我が物にしようと企んだのです」 「ひぇ〜〜! なんと禍々しい! あれ、でも道満は成仏してるんですよね?」  秘書さんがそう言っていた。
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