真相

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「”陰陽師様”と周りにもてはやされお礼だ寄付だと財産も増え、おまけにモテモテで女遊びし放題」 「え、奥さんや子どもいるのに?」 「罪悪感と責任感だけの家族でしたからね。家にいても息苦しかったんでしょうね。なので尚更外で派手に遊んだみたいです。そして楽しく毎日を過ごし、すっかり日本を我が物に、なんて事は忘れてしまいました。十分楽しく過ごしたのであっさり成仏したようです」  俗物というのだろうか。結局人間なんてそんなものなのだろう。恨みなんて今が楽しければ忘れてしまう。それで良いのだ。忘れられる程度の恨みならば……。 「そして残された息子、清明の息子は、かなり苦労したようです。財産は道満が遺してくれた。しかしこの地は穢れている。悪霊はいるし生贄にされたたくさんの魂がこの地に蠢いている。それを鎮めるために必死だったようです。ここに神社を建て毎日祈祷をして一生を終えたのです」  親の置き土産が酷すぎる! 一生をかけて親の尻ぬぐいをしていたとなればこの世に未練いっぱいで成仏もできないはずだ。清明の子孫の先輩に抱かれたくらいでは収まらないだろう。
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