真相

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「そして息子は子孫によって祀られ御神体となったのです。そう、桜さんたちが鎮めているのはその息子なのです」 「今もまだ恨みを持ち続けているって事ですか?」 「息子本人の未練と生贄にされた魂の恨みと悪霊と。全てが混ざり合っています」 「ひーー!」  よく全員無事で特番が終わったものだ。そんな悪霊の集団なら何が起こってもおかしくなかっただろう。 「悪霊もこのテレビ局は守りたいので大事にはしなかったのでしょう。なにしろ自分の土地なので」 「なるほど。自分の土地だし子孫である社長や桜さんもいたから暴れなかったんですね」  そんな場所に勤務していたのか。怖くなってきた。でもそんな禍々しい土地なら私にも分かったはず。今まで何故気づかなかったのだろう。 「私が守っていたのです。先祖や悪霊の因縁から息子を守るために、私はこの地に地縛霊として自ら留まり、ずっと祈り続けていたのです」  それで華さんはこの部屋から出られなかったのか。自らをこの地に縛り付け息子を守っていたのだ。 「あれ、でも華さんが成仏してしまっても禍々しくないですね」 「陰陽師様のおかげです」 「陰陽師様?」 「清明の子孫である陰陽師様がこのテレビ局に結界を張ってくださっているのです」 「え?」  先輩の叔父さん? いつの間に? 
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