真相

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「う……ん……」 「鮪子さん!」  鮪子さんが目を覚まし、もぞもぞ動き出した。 「疲れた……」 「うん、思いっきり憑かれてたよ! お疲れ様!」 「体中痛いよ〜」 「慣れてないのにハードな霊を何人も降ろしたもんね」  その時仮眠室のドアを誰かが叩いた。私はドアを開けた。 「おーい、まだ帰らないのか?」  毛瀬だった。 「ずっと待っててくれたの?」 「だって付き人だもん」  毛瀬は少し不機嫌そうにあくびをした。 「ヨハネ様!」  華さんは毛瀬にひれ伏した。いや、毛瀬の守護霊に対してか。 「丁度良い所に来た! さすが我が付き人!」 「はぁ?」 「そこに疲れてる人がいるの。癒やしてあげてよ」 「ん?」  毛瀬は鮪子さんを見ると眠たそうな顔を一変させ、慈しみ深い表情になった。 「主の恵みがありますように……」  毛瀬はベットの横にひざまずき祈り始めた。華さんも毛瀬の隣で祈り始めた。眩しいくらいに神々しい2人だ。私はソファに横になった。私だってめちゃくちゃ疲れている。ここにいれば癒やしの光のおこぼれが降ってくるかもしれない。そう思いながら目を閉じた。  
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