死後の世界

2/7
前へ
/468ページ
次へ
 仕事を終え毛瀬に送ってもらい家に帰ってきた。やっぱり家はいい。気が休まる。何だかんだとずっと毛瀬と一緒にいた事になる。付き人だから仕方ないが不本意だ。  今頃先輩はどうしているのだろうか。桜と一緒なのだろうか。桜に情が移ったのだろうか。2人はどうなるのだろう。私は……。 「何だフラレたのか? 可哀想になあ」  窓ガラスに張り付いているオッサンの言葉が無茶苦茶気に障る。 「だから言ったじゃねぇか。男は情に流されるって」 「ま、まだ分かんないもん。流されたら私が助けにいくもん!」 「人魚姫は王子様を助けたのに最後はトンビに油揚げをさらわれちまったよなぁ」 「う……私は人魚でも姫でもないから大丈夫だもん! 余計な心配してないでさっさと成仏したらどうなんですか?」 「成仏……なあ。成仏って何なんだ? しなきゃいけないのか? 俺は今のままでいいや」 「えー、窓ガラスに縛り付けられてるのに?」 「だって……怖いんだもん」  乙女か!? 「さあ愛、講義の時間よ!」  マイが現れた。そうだ、成仏したらどうなるのか教えて貰うんだった。 「オジサンもそこで聞いていればいいよ」  そしてマイの講義が始まった。  
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

216人が本棚に入れています
本棚に追加