出陣!

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出陣!

 本を読み返す。そういえばこんな事書いてあったな。そういえばこれを読んだ頃あんな事があったな……。本は記憶を呼び覚ましてくれる。 「こらっ! ぼーっとしない!」 「ハッ!」  私は光の超高級ホテルの部屋で一緒に勉強をしていた。2人きりではない。セイラと毛瀬も一緒だ。みんなで試験勉強をしていた。 「セイラはいいよね。人の考え読めるから勉強しなくても答え書けるんでしょ?」 「たくさんの考えから正解選ぶにはどれが正解か知らなきゃいけないじゃない? 結局勉強しておかなきゃいけないってわけよ」 「そりゃそうだ」 「それに工学部は実技試験もあるからね〜」 「そっか〜」  大学の試験は大変だ。高校までみたいに3学期制ではなく前期と後期の2学期制、中間テストがないので定期テストの回数は少ない。回数が少ない分範囲が物凄く広い。問題も「〜について論ぜよ」みたいな論文形式のものも多く丸暗記して答えを書くだけなんて事は通用しない。分厚い教科書を何冊も読んで内容を理解しておかなければならない。  毛瀬は一応先輩だが理工学部なので全くの畑違い。何の参考にもならない。頼れるのは光のみ。 「光〜何処出そう?」 「この本からは確実に出ると思うから読んどいた方がいい。何ていっても教授の書いた本だからな」  本屋に置いておいても絶対に誰も手に取らないであろう本。しかしそれを教科書として講義で使い、学生に買わせる。一冊3000円もする。教授はそれで毎年印税を得ていると思うとムカつく。
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