出陣!

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 神社は日曜日だというのに静まり返っていた。小さな神社はそういうものなのだろうか。でも神社特有の清らかな空気は感じた。 「御神体はあの中だな!」  毛瀬は勇ましく鳥居をくぐった。 「ちょっと! 真ん中通っちゃだめじゃん!」 「え、何で?」 「真ん中は神様が通るんだから人間は端っこ歩くの」 「え〜、神様っていったって元は人間だろ? それもおっかない……」 「毛瀬!」  神殿の前で桜がこちらを睨んでいた。聞かれたようだ。 「あ、どうも……。その節はお疲れ様でした」    慌てて社交辞令を述べた。すると桜は満面の笑みを見せた。機嫌が直ったのか? 「柚子木さんにセイラさん、ようこそお越しくださいました。先日はお疲れ様でした」  桜は私と毛瀬を無視して光とセイラに話し掛けた。 「あ〜この間のお雛様〜!」 「お雛様だなんて。あれは女性神官の正装なんです」 「え〜、すっごく綺麗でした!」 「まあ、ありがとうございます」  セイラがテレビ向けキャラで桜を持ち上げまくっている。その間にと私と毛瀬は神殿の前に立った。 「毛瀬、準備はいい?」 「おう」  毛瀬が懐からステッキを取り出した。そして神殿の奥に向かってステッキを振り上げた!
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