出陣!

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 ……何も起こらなかった。 「魔法使いのお嫁さんがいるなら楽しそうですね。どうぞお幸せに」 「う、うん」  お幸せそうに桜と先輩は社務所へと帰って行った。美男美女の後ろ姿は絵になる。悔しいくらいに。 「愛ちゃんどうだった? 成仏した?」 「ううん。びくともしなかった」 「えー! 私の作った装置に間違いはないはずなのに」 「きっと結界が強いんだと思う。しっかり守られてるから装置の威力も届かなかったんだよ」 「じゃあ先に結界破らなきゃいけないんだ。愛ちゃんやってよ」 「……ダメ。固すぎる」 「そうなんだ」  桜と桜のお父さんと、そして先輩と。みんなで力を合わせて鉄壁どころか超合金の結界を張ったんだ。結界のプロ集団の仕事を私が破れるわけがない。 「取り敢えず撤収だな」  光がポンと背中を優しく叩いた。暖かくて切なくなった。 「よーし、帰って装置をもっと強力にする!」 「テストの勉強は?」 「いい考えが浮かんだの」 「何?」 「教授の考えを読んじゃえば問題分かるじゃない?」 「それ最強! 羨ましい! その力欲しい〜〜」  車の中は賑やかだった。良く考えたら全員芸能人! だけど同じ大学のサークル仲間。みんな素の自分が出せる。冗談を言い合い笑い合う。気兼ねなく何でも言える仲間だ。  でも本当はセイラに聞きたい事がある。それは……。 「あぁ、あの陰陽師ね」  セイラはこちらから聞かなくても勝手に考えを読んでくれる。便利というか何というか。
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