出陣!

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 セイラにマンションまで送ってもらい帰宅した。窓ガラスを見るとオジサンはキレイにいなくなっていた。でも先輩が書いてくれた護符はそのまま貼られている。  「信じろ」と言われ私は少し落ち着きを取り戻していた。セイラはもっと色々な事を知っているはずだ。先輩の頭の中なんて丸見えだったはずだ。でも敢えて私に言わなかった。  セイラは他人の考えなんて全部お見通しだ。だからといってベラベラ話たりしない。ちゃんと言っていい事といけない事の区別をつけているのだろう。  だから私はセイラを信用する。信頼できる。私に望みがないのなら最初から何も言わないはずだ。でもセイラは私に先輩を信じろと言った。ならばそうするまでだ。セイラの言葉を信じよう。  そして社長。社長の恨みって何だろう。何で陰陽師様を恨んでいるのだろう。  月曜日、仕事が終わると私は社長室へ向かった。社長がいない事を祈りながら。 「失礼します。栗本です」  いつもは遠慮なく開けるドアだが今日は緊張した。果たして秘書さんはいつも通りパソコンに向かっていた。
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