出陣!

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「さあ帰るわよ」 「はい!」  秘書さんはデスクの下から地味なバックとカーデガンを引っ張り出し帰り支度を始めた。ひと通り社長室内の電気や戸締まりを確認し社長室を出た。  私はただ秘書さんの後をついて行った。秘書さんはエレベーターに乗り”R”のボタンを押した。しばらくすると地下に着いた。エレベーターを降りると駐車場だった。秘書さんはまっすぐ1台の車へ向かった。 「どうするの? 乗るの?」 「はい!」  秘書さんが車のドアノブに付いている小さなボタンを押すとロックが解除された。私は助手席に乗り込んだ。 「お疲れ〜」 「ヒッ!」  後部座席には悪魔、いや秘書さんの眷属のルーちゃんが横になっていた。 「さっさとシートベルトしてちょうだい」 「はい!」  私がシートベルトをするとすぐに車は動き出した。テレビ局を出て夜の街を走る。東京の夜はまだまだ賑やかだった。飲食店の看板やネオンの光で満ち溢れている。
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