出陣!

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「私に何を聞きたいの?」  秘書さんの方から口火を切ってくれた。 「社長の事や先輩……桃林大和さんの事です」 「それを聞いてどうするの? あなたには関係ない事です。他人の事情を詮索するのはどうなのかしら」  秘書さんはきっぱりと言った。確かに私には関係ないし、誰かに相談されたわけではない。 「人の家に土足で踏み込むような事はしないわよね?」  そう言われてしまえば何も言えない。私は出しゃばり過ぎたのだろうか……。 「大和くんも今頑張ってるのよ」 「先輩が?」 「跡継ぎに、なんて陰陽師様に言われているけど、他の弟子たちからは少なからず不満は出てるの」 「そうなんですか?」 「いくら陰陽師様の血縁者でそこそこ術は使えても、先ず視えない。指導力不足。優しすぎる。上に立つには頼りなさすぎる」  そこが先輩のいい所なのに。でも「いい人」だけじゃ上に立つことはできないのも事実だ。 「だから今回キッチリと方を付けて跡を継ぐのに相応しい人物だと皆に知らしめなきゃいけない。だから、あなたは余計な手出しはしないでよ。まあ励ますくらいはしてもいいわよ」  秘書さんは私を見てニヤッと笑った。
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