約束

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「神社ではどんな生活してるんですか?」 「朝早く起きて祈祷、それから境内の掃除。そしてまた祈祷。殆ど祈祷してるんだ」 「そんなにしなきゃいけないんですか?」 「うん。御神体を鎮めるのが一番の仕事だからね」 「荒ぶる神様だそうですね」 「うん。清明の息子の霊の方がまだ大人しい」 「え、神社の御神体って清明の息子じゃないんですか?」 「違うよ」 「じゃあどなたなんですか?」 「昔から……そう、清明も道満も生まれる前からいた、地の主なんだ」  地の主……。まさか禁足地の主、生贄を欲するという、主! 「でもその主って元々テレビ局の辺りの土地の主なんじゃないんですか?」 「愛ちゃんは何でも知ってるね。うん、そうなんだ」  道満亡き後満明はその地に神社を建て主や生贄になった霊を鎮めるためだけに一生を費やした。しかし満明が亡くなると跡を継いで祈る者はいなくなってしまった。  そこへ道満の遠縁という者がやって来て跡を継いだ。しかしその者は祈祷なんて全くの素人。ただその土地や財産目当てでやって来ただけだった。なので天変地異は起きるわ火事や喧嘩は起きるわと災が続いた。そして困り果てた跡継ぎは清明の系統の陰陽師に泣きついた。 「元々そちらの子孫が始めた事なんだから何とかしてくれ」と。
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