約束

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「うん。ひいお祖父さんは清明の再来かと言われるくらい優れた陰陽師だったそうなんだ」 「へぇ」 「僕たちの学校だけじゃなくてひいお祖父さんは全国を飛び回って術を施したそうなんだ。だから殆ど家にいなかったってお祖母ちゃんが言ってたなぁ」  ”僕たちの学校”。そう、私と先輩が青春を過ごしたかけがえのない学校。桜の知らない先輩を私はいっぱい知っている。 「ひいお祖父さんが偉大過ぎたからうちの父親は絶対陰陽師になりたくないって言って家を出たんだ」 「先代が偉大過ぎるのも大変ですね。それで叔父さんが跡を継いだんですね……あれ、ひいお祖父さんと叔父さんの間、お祖父さんはどうしたんですか?」 「ひいお祖父さんは娘1人だったんだ。それがお祖母ちゃん。お祖母ちゃんは体が弱くてとても修行には付いて行けなくて、陰陽師はやらなかった。お祖母ちゃんは弟子の中の1人と結婚した。それがお祖父ちゃん。でもまだ入門ホヤホヤの新米だから跡取りにはならなかった。で、叔父さんが一人前になるまでの間弟子の中で一番優秀だった人が陰陽師の代行をしていたんだ」 「そうなんですか。さぞや優秀な人だったんでしょうね」 「うん、悪魔さえも眷属にするくらい優秀だよ」 「え、悪魔……それってまさか」 「柳生さんだよ」 「えーー!」
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