進展

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「ところで……社長がお呼びだ」 「はぁ〜〜?」  最近呼ばれなかったので忘れられているのかと思っていた。あんまり会いたくないなぁ。もしかしたら特番の事で怒られるのかもしれない。気が重い。  渋々社長室へと向かう。社長には会いたくないが秘書さんに会うのはちょっと楽しみだ。 「失礼します、栗本です」  社長室のドアを開ける。そこには安定の秘書さんの仕事風景があった。 「お疲れ様です。今日は社長に呼ばれてます」  何となく仲間意識が芽生えた私は秘書さんに笑顔で挨拶した。 「分かってます。どうぞ」  秘書さんは相変わらずつれない態度。それでこそスパイだ。見習わなければ。 「あら……ふぅん」  一瞬秘書さんが驚いた顔をした。どうしたのだろう。 「失礼します。栗本です」  社長の部屋へ入った。相変わらずインテリアは妖しい物だらけだが空気は正常だ。きっと秘書さんが何かしているのだろう。 「あっ!」 「何だね?」 「いえ、何でもありません」  気付いてしまった! この床に描かれている魔法陣、だと思っていた五芒星はもしかしたら秘書さんが描いた結界なのかもしれない。いやきっとそうだ。五芒星は清明紋。それでこの部屋は守られているんだ。
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