ホンボシ

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 本殿には相変わらず鉄壁のバリアが張り巡らされている。先輩が加わった事で尚更強固なものになっている。 「う〜ん。御神体どころか本殿の中も視えません」 「”結界”ってヤツですか?」 「はい」 「おお〜」  一同結界に大感動したようである。 「結界なんて本当にあるんですね。都市伝説かと思ってました」 「いや、そこら中にありますよ」 「そうなんですか! 視えないと不便ですね」 「普通生活するには何の支障もないですよ」 「でもそんなの張れる人がいるんですね」 「……私だって張れます」 「え! そうなんですか?」  私を誰だと思ってるんだ。警察庁はそんな無能なヤツに協力頼むのか? 「でも結界がしっかり張られているという事は神様に祈りは届いてないって事ですか?」 「そもそも神様じゃないです。まあ古来からその地に住み着いている主を神と呼ぶのなら神ですが」 「じゃあその神社にお参りに行ってもご利益は期待出来ないって事ですか?」 「そもそも神様にお願いなんてする事が間違っています。神様はこの世を作り守ってくださっています。私たち人間が生活出来ている事自体神様のご利益です。神社では感謝をするべきです」 「そうなんですか」  神様は地球規模、いや宇宙規模で働いてくださっている。いわば大会社の社長様だ。一介の平社員の恋愛相談に乗っている暇はない。平社員は平社員らしく会社のために勤労に励み給料をくれる社長に感謝すれば幸せになれるのだ。まあ特に会社に功績のあった社員は社長賞を貰える事もある。特別ボーナスを貰いたかったら日々精進するのみだ。
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