ホンボシ

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「で、何を話したの?」 『久し振りとか、大きくなったねとか』 「それから?」 『とにかく2人とも感激しちゃって、ただ泣いてた』  社長の目にも涙……。社長も辛かったのだろう。いつ本当の母親の事を知ったのかは分からないが、知った時はショックだっただろう。よくぞ不良にならずに育ったものだ。私だったらと考えるとゾッとする。  でもそんなピュアな心を持っているのに何でテロリストまがいの事をしようとするのか。 『お母さんの仇は俺が取るからとも言ってた』 「仇?」 『うん。お母さんを死に追いやった陰陽師は俺が始末するから、って』 「陰陽師!?」  どういう事? まさかそれが積年の恨み? でも陰陽師と華さんと何の関係が? 「華さんは何か言ってた?」 『誰も恨んじゃいけませんよって』  華さんらしい。でも何があったのだろう。先輩が神社に行っている事と関係があるのだろうか。 「私も華さんと話がしたい……鮪子さんお願いしてもいい?」 『え〜、愛ちゃんならイタコ使わなくても自分で呼べるんじゃないの?』 「あ、そうか」  今まで成仏した霊との交信は殆どやった事がなかった。でも出来ないわけではなかった。高校の時学校の創立者を呼んだ事があったっけ。
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