ホンボシ

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「私がどうして死んだのか、何故あの部屋に留まり続けたのかは先日お話しましたよね?」  仮眠室に閉じ込められ、何も食べずに亡くなってしまった。しかし自分は息子を守るためにテレビ局に地縛霊となって居続けたのだとこの前話していた。 「私の亡骸を見つけたあの人はとても悲しんでくれました。でも悲しみのあまり私を生き返らせるために、事もあろうに悪魔に祈ったのです」 「悪魔に!?」 「私を生き返らせてくれたら生贄を捧げますと。なにやら怪しげな儀式をして悪魔を呼び出していました」 「ひ〜〜! 本当に悪魔は現れたんですか?」 「はい。現れはしたんですが、私はずっと祈り続けていたものですから近付く事もできませんでした」  華さんの信仰心が悪魔に勝ったのだ。 「でも呼び出された悪魔はただでは引き下がりませんでした。そう、呼んだ張本人に取り憑いたのです」  悪魔に取り憑かれ不運に次ぐ不運にみまわれた元社長。悪魔が引き金となりその地に眠っていた霊たちも騒ぎ始めた。元社長本人は悪魔が視えないのでそれが悪魔の仕業だとは気付かない。本家の神社にお祓いを頼んだが効果は全くなかった。そこで仕方なく陰陽師に依頼をしたそうだ。
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