ホンボシ

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 陰陽師は優秀だった。そう、先輩のひいお祖父さんだ。ひいお祖父さんはすぐさま悪魔を封印し、起こされた地縛霊たちも鎮めた。 「その時の悪魔は今テレビ局にいます」 「え、それってもしかして……ルーちゃん?」  封印した悪魔は秘書さん、柳生さんに託された。柳生さんは悪魔を飼い慣らし眷属に育て上げた。柳生さんスゲー。 「それで一件落着のはずが、あの人は私の死を悪霊に取り憑かれたせいだと周りに話したのです。それも陰陽師の仕業だと」 「はあ?」 「元々清明の子孫の土地だから明け渡せと陰陽師は言ってきた。断ると悪霊を送り込んで来た。しかし神社の家系の水戸一族は神様によって守られた。だがお前の本当の母親は清明一族の毒牙にかかり命を落としたのだ、と、あの人は息子に話したのです」  作り話も甚だしい。恩を仇で返すとはこの事だ。 「で、社長はそれを信じて陰陽師一族を仇だと思ってるんですね」 「ええ。それで御神体に生贄を捧げて陰陽師に仕返しをしようとしているのです」  嘘を言われた社長は可哀想だ。でも仇討ちをしようなんて考えたらダメだ。怨霊に生贄を捧げるなんてもっとダメだ。  何とか阻止しなきゃ。生贄にされる人が出ないうちに。
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