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「それは大丈夫だと思いますよ」
「……へ?」
「だって神社は空っぽですから」
「は?」
「御神体はありません。陰陽師様が水戸一族に任せたら悪用するに決まっているからと御自分で持ち帰られました」
「え、じゃあ今桜たちが必死で祀っている御神体って……」
「陰陽師様の式神です」
「はぁ〜〜?」
ひいお祖父さんの陰陽師様は地の主を封じた鏡を水戸一族に託した。御神体として末永く祀るようにと。しかしひいお祖父さんは水戸一族が悪用することを見越していた。なので鏡には自分の式神を封じ込め、水戸一族の怨念を浄化する装置にした。
「じゃあ本物の御神体は……?」
「陰陽師様が持ち帰られました」
なるほど。どうりで腹黒一族の神社のわりに清浄な空気だったわけだ。ホンボシの地の主はいない。だったら式神を付けられても生贄にされる心配はない。
「そうでもないのです」
「え?」
「式神を貼られた人は精神に異常をきたします。人によっては絶望的になったり、ちょっとした事で人を恨むようになったり。そして最終的には自殺するか殺人を犯すか……」
どっちもダメじゃん!
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