決戦の金曜日

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 夜の神社は不穏な空気に包まれていた。なるべくなら近づかない方が良い。しかしこの時間だからこそ行くのだ。  怨霊が活発化する今だからこそ。  そっと音を立てないように本殿に近付く。砂利を踏まないよう、石畳の上をそっと歩く。  本殿は相変わらず鉄壁の結界が張られていた。しかしその向こうから敵意に満ちた視線を感じる。私たちが来たことに気付いているようだ。  ちらりと社務所を見る。電気も消えて寝静まってしるようだ。神社の朝は早い。きっと今頃は夢の中。まさか襲撃を受けているとは思ってもいないだろう。 「愛、先ずはどうするんだ?」  光が小声で聞いてきた。先ずは結界を破るのだ。そしてあらわになった満明の封じ込められた鏡に新たな封印をする。そしてその鏡を私が持ち帰り供養する、というのが今回の計画だ。 「私が結界を破る。でも破ったとたん怨霊たちが襲ってくると思うの。だからみんなはその怨霊たちをステッキで成仏させて」 「おう、任せとけ」  みんなはステッキをしっかりと握り身構えた。光は剣士のように、セイラはフェンシングのように、毛瀬はマリンちゃんのように。 「キュ〜ちゃんもパー子もお願いね。みんなが襲われそうになったら助けてあげて」 「おう、任せとけ!」  みんなが戦闘態勢に入った事を確認し、私は合掌した。
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