決戦の金曜日

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「摩訶般若波羅蜜多心経……」  私は師匠の青椒肉絲を思い浮かべた。青椒肉絲のお陰で”空”を体得できた。  ”空”とは陽炎の如く、水中の月の如く、影の如く、鏡中の像の如く。在るけど無い、無いけど在る。それが”空”。万物は”空”なのだ。ならば結界だって在るけど無い、無い無い無い! 「舎利子 是諸法空相……」  般若心経はとにかくこの世の全ては”空”であると説いている。苦しみも悲しみも、死さえも無いのだ。真実はこの世には無い。成仏し悟りを開けば真実に出会える。さあ、そんな結界なんて無いものは消え去るのだ……! 「来た!」  光が叫んだ。怨霊が結界から湧き出して来た。 「さあみんなステッキを振って!」  セイラがステッキを振り回すと光も毛瀬も振り出した。 (うぉーーー!) (ひーーー……)  視えるのは光ただ1人。でもセイラは思念を読み亡者たちの居場所は分かる。毛瀬は怖さで無茶苦茶にステッキを振り回している。しかしステッキの威力は抜群だった。亡者たちはバッタバッタと成仏していった。よし、私も参戦だ。
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