決戦の金曜日

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「どう? 愛ちゃん」 「うん。今度はよく視える。御神体の鏡と、その下にもうひとつ、特番の時満明を封印した鏡がある」 「じゃあ早く鏡を封印して持ち帰ろうぜ」 「うん」  私は満明の封印されている鏡に意識を集中させた。 「……あれ」 「どうしたの?」 「鏡が、鏡の中が空っぽだ!」 「え?」  気付くのが遅かった。 (忠告したはずだ。関わるなと)  目の前に神官姿をしてはいるが、暗い目をした男が立っていた。いや、浮いていた。 「満明……!」 (呼び捨てとは失礼な女!)  満明が私に向かってきた。 「愛、危ない!」  光が満明に向かってステッキを振った。満明は瞬時に消えた。 「ありが……え!?」  満明は本殿の前で不敵な笑みを浮かべていた。 「外した?」 「なわけない。消えた感覚はあった」 「でも……え!」  本殿の前だけではなかった。8人の満明が私たちを取り囲んでいた。
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