決戦の金曜日

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「でもあなたは子孫から神と崇められ神社で祀られているじゃないですか」 (崇めら……ふ。奴らは俺が怖いだけだ。暴れないように封じ込めてるだけだ。祈りといえば商売が上手くいくようにとか儲かりますようにとか。俺を使って私腹を肥やす事しか考えていない)  アイツラならそうだろう。先祖の供養より自分の幸せ。そりゃ怒りたくもなる。 (だが奴は違った。アイツも俺と同じで本当の親と暮らせず悲しい思いをした。そして今親の仇を討たせてくれと願っている。我が子孫の願い、聞き入れなくて何が先祖、何が神)  社長の事だ。社長も満明と同じく本当の親と暮らせない寂しさを知っている。だから力を貸そうとするのか。 「違う、社長の本当の仇は陰陽師様じゃない。本当の仇は……」 (皆まで言うな。私は神だ。全て分かっている。だがアイツの悲しみを癒やすには陰陽師を討つしかあるまい) 「じゃああなたも陰陽師を討つんですか? 本当のお父さんを!」 (……)  満明は黙り込んだ。悩んでいるのか?  「あのー、ちょっといいですか?」  光が手を挙げた。 「あなたの気持ち分かります」 (何だと? お前に分かるわけがないだろう!) 「俺も親に捨てられたんだ。赤ちゃんの時、お寺の前に置かれていたらしい」  え……光にそんな過去が……。
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