決戦の金曜日

15/21
前へ
/468ページ
次へ
「そのお寺が光善寺って名前だったから俺の名前は光になった。俺は施設で育ったんだ。今だに親が誰なのか分からない」  嘘……切なすぎる。 「だから、有名になれば親が会いに来てくれるかもって、俺は芸能人になったんだ。まあ、こんな大きくなっちまったら親にも分からないだろうけど」 (お前……親を恨んでないのか?) 「まさか。今メチャクチャ楽しいし幸せだ。産んで貰って感謝しかない」  うう……思わず目が潤む……。ん? 満明も……涙目? 「私もいい?」  セイラが手を挙げた。 「私は両親ともいたし勉強もさせて貰ったから普通の家庭で育ったんけど、今は家族が何処でどうしているのかは分からないの」 (どういう事だ?) 「私の住んでた星が生物の住めない状態になったの。で私は移住できそうな星を探しに宇宙に旅立った。そしてこの地球に辿り着いたの。星の人たちは殆どが地球に移住した。でも、うちの父親は宇宙センターに勤めていて宇宙船を打ち上げる技士として働いていたの。だからみんなを乗せた宇宙船には乗らなかった。後から技士たちだけで地球をめざす事になってたんだけど、宇宙船が地球に来たって情報は来ていない。もしかしたらまだ向こうにいるのかもしれないし、地球に向かう途中で何かあったのかもしれない。全く分からない状態なの」
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

216人が本棚に入れています
本棚に追加