決戦の金曜日

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 いつも明るくて頼りになるセイラにそんな事情があったなんて。トラピストはどんどん日照時間が短くなり、動物も植物も生きていけなくなるのも時間の問題だ。そんな星に取り残されているとなれば……。心配だろうに。 (他の星の人間だと? 信じられん。夜空に輝く星に人が住めるなんて) 「私も地球に来るまで他の星に人が住んでるなんて確信が持てなかった。でも信じて宇宙に飛び出したの。それしか私たちが生き残る方法がなかったから」  藁にもすがる思いで宇宙船に乗ったのだろう。宇宙船で行ける範囲に移住できる星があるなんて保証はどこにもない。それでも人類を救うために宇宙に出た。希望を乗せて。 (お前の勇気には感心したぞ) 「勇気なんて。本当は凄く怖かったの。生きて帰れるのかも分からない。移住できる星が見つからなかったら帰るに帰れない。不安でいっぱいだったわ」  全人類の期待を背負い、物凄い重圧があった事だろう。地球に移住できて良かったね。今更ながら心から歓迎する。ようこそ地球へ! 「なんかみんな告白してるから僕もしようかな」  毛瀬が手を挙げた。 「僕は幼少の頃から賢くて将来は絶対東大に入ると言われていた。自分でもそう思ってきた」  なに〜? 毛瀬が神童だと?
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