決戦の金曜日

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「両親も周囲の人たちもみんなが期待していた。僕もそのつもりだった。楽勝だと疑わなかった」  ならば何故うちの大学に? 「高校の時、出会ってしまったんだ……マリンちゃんに!」  一番大事な時期に! 「僕はアニメに夢中になった。のめり込んだ。将来はアニメ関係の仕事がしたいと思った。それまではとにかく一番になる事だけを目標に勉強してきた。だから将来の事なんて考えた事もなかった。一番の大学に入って一番の会社に一番で入って、って。 でもマリンちゃんに出会って、その一番の職場が僕のやりたい事なのだろうかと疑問に思った。好きでもない仕事をして楽しいのだろうかと」  毛瀬らしからぬ話だ。なんかもっとアニメにどっぷり浸かった青春を送っていたのかと思っていた。 「僕は悩んだ。自分のやりたい事を諦め敷かれたレールを走り続けるか、それとも自分で新たなレールを敷くか」  毛瀬の口から出てるとは思えない言葉! 毛瀬にそんな一面があったとは。 「僕は決めた。自分の道は自分で決めようと。それで親には内緒で東大じゃなくて違う大学を受験した。だってうちの大学の教授はその道では世界的な権威の人だから」 (親に逆らうとは親不孝者だ!)  満明は怒りをあらわにした。しかし毛瀬には視えない聞こえない。気にせず話し続けた。
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