決戦の金曜日

19/21
前へ
/468ページ
次へ
 満明のオーラがしぼみ始めた。それと同時にたくさんいた式神満明が1人、また1人と消えていった。そして本体の満明だけが残った。 「満明さん、あなたは神になりたかったの?」 (まさか。私は、私は普通に結婚して子どもを育てて、普通の家庭を築きたかった。自分が味わう事のできなかった温かい家庭を築きたかったのだ) 「じゃあ来世はそうすればいいじゃないですか」 (来世? そんなモノはない) 「あります。ちゃんとありますよ。ほら」  月から光の階段が下りてきた。その階段をゆっくりと下りてくる女性がいた。 (母上!) 「満明。久し振りね」  呆然と満明は母親が近づいてくるのを見ていた。 「やっとあなたに会えた。嬉しいわ。あなたずっと封じ込められていて会うに会えなかったから」 (まさか……。母上は神になったんじゃ……) 「人間は神にはなれません。神とはこの地球、宇宙をお作りくださった方です。私たちが生まれるずっと前に生まれ、そして今でも生きている。そんな存在に人間がなれるわけはないでしょう?」 (いや、それでも神になった人間もいるじゃないですか)  母親は地上に降り立った。そして優しく満明を抱きしめた。
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

216人が本棚に入れています
本棚に追加