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「そうね。全てを捨ててこの世の人たちのために尽くす覚悟があれば神になれるかもしれません。私には無理です。あなたに会いたかったから。また次の世でもあなたと暮らしたい。今度はちゃんと温かい家庭を築きたい」
(母上……私も、私もです。また母上と暮らしたい。今度は温かい家庭で……)
満明の怨念はきれいに消え去っていた。今はただの幽体になっている。
「一緒に行きましょう」
(はい)
満明と母親はしっかりと手を取り合い階段を上り始めた。満明は母親をいたわりつつ、笑顔で。
2人が上りきると階段は消えた。
「上がった……」
満明は成仏した。
「はぁ〜〜〜〜」
力が一気に抜け私は座り込んでしまった。
「え、上がったの? 成仏したの?」
「うん」
「凄い! やったじゃない!」
セイラが抱きついてきた。
「お疲れ、愛。頑張ったな」
光が頭を撫でてくれた。
「私は何もしてない。みんなが満明を説得してくれたんだよ」
「え、僕? 僕のお陰?」
いや、アンタだけのお手柄じゃないぞ、毛瀬。
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