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 キュ〜ちゃんの体は陽炎のように限りなく透明になった。もう薄っすらと輪郭が所々視えるだけだ。それに伴い光はどんどん強くなっていく。  そして、キュ〜ちゃんは光に溶けた。 「キュ〜ちゃん!!!!」  キュ〜ちゃんが消えた、そう思った瞬間、光の塊が私の方へ向かって飛んで来た。そして胸元のロザリオに飛び込んだ。 「え……キュ〜ちゃん……」  私はロザリオを握りしめた。ほんのり温かい。鼓動を感じる。 「河童は日本を救ったら元の場所に戻る……」  毛瀬がポツリと呟いた。 「それ、前に言ってたよね」  キュ〜ちゃんがまだロザリオに封印されていた時、毛瀬がそういうお告げを受けたと話してくれた。そしてそのお告げの後キュ〜ちゃんは封印を解かれ表に出てきた。  最初は「キュ〜キュ〜」しか言えなかったのに、あっという間に言葉を覚え、みんなのアイドルになった。たくさん妖怪を食べ妖力を身につけた。人食い河童一族に生まれたのに、いつの間にか人間を助ける河童になっていた。  可愛くて生意気で、でも頼りがいがあった。いつも側にいて私を助けてくれた。
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