回帰

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「キュ〜ちゃん……。先輩、キュ〜ちゃんはどうなっちゃったんですか?」 「え……分からない。ただ僕はキュ〜ちゃんが元に戻るように祈願したんだ」 「元に……戻る」  ロザリオからはキュ〜ちゃんの気配がする。息遣いが聞こえる。 「愛、お兄ちゃんは?」  キュ〜ちゃんそっくりなまん丸い目を潤ませパー子が聞いてきた。 「大丈夫。キュ〜ちゃんはこの中で生きてる。きっとこの中で体力を回復してるんだよ。元気になったらまた出てくる。ほら、触ってみて」  パー子がロザリオに耳を当てた。 「あ、本当だ。お兄ちゃんの寝息がしてる。熟睡してる時の寝息だ。お兄ちゃん、早く元気になって戻って来てね」  パー子は優しくロザリオを撫でた。  キュ〜ちゃんは日本を救ったのだ。だから予言通り元に戻ったのだ。また日本に危機が訪れなければ出てきてくれないのだろうか。だとしたら出てこない方がいいのか。いや、会いたい。また一緒に暮らしたい。平和な日本でも出てきてくれるよね? キュ〜ちゃん……。 「さて、そろそろ帰りましょうか」 「ハム男! え、何で?」  いつの間にかハム男がいた。全然気が付かなかった。 「僕を送ってきてくれたんだよ」 「先輩を? 何処かに行ってたんですか? え、ハム男って事は……」 「うん、警察庁」 「何で?」 「河津親子を逮捕したんです」 「え!!」  桜親子が逮捕!?
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