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原因
「すっかり暑さも和らぎ朝晩は涼しいくらいですね。空を見上げると魚のウロコみたいな雲が広がっているのを見る事もあるかもしれません。ひとつひとつの雲の大きさによってサバ雲、イワシ雲、ウロコ雲、ひつじ雲と区別されます。
どの雲にしてもお天気が下り坂のサインです。ひつじ雲の次の日には傘をお忘れなく」
すっかりお天気お姉さんが板についてしまった。お天気関連のウンチクならお任せあれだ。猫が顔を洗うと雨っていうのは本当だとか、「雨女雨男協会」って団体があるとか。
職業意識に燃え覚えまくってしまった。でももしかするとそれもあと少しで用無しになってしまうのかもしれない。
今夜私は社長に会いに行こうと決意した。陰陽師様を恨む理由を聞き出し、その上で恨む事を諦めて貰うように説得するのだ。社長の反感を買って「クビだ!」と言われるかもしれない。でも全ては誤解なのだ。恨み続けていても幸せにはなれない。社長のためでもある。
これが最後のお勤めになろうとも、私は行かなければならない。
……いや、やっぱりやめようかな。あと1年くらい後でもいいかな……。
「愛ちゃん……社長がお呼びだ」
呼ばれてしまった。
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