215人が本棚に入れています
本棚に追加
深呼吸を大きく1回し、私は社長室のドアをノックした。
「栗本です。失礼します」
勝手知ったる社長室。今日はどんな司令を受けるのだろう。
私は社長説得の件は司令が終わった後にしようと思った。クビになるにしてもボーナス1回分付けてもらってからの方がいい。などとセコい事を考えていた。
「社長がお待ちですよ」
秘書さんがパソコンから目を離さずそう言った。私は社長の部屋をノックした。
「栗本です。失礼します」
社長はソファにゆったりと腰掛けていたが、私を見ると立ち上った。
「栗本さんお疲れ様。まあ座りたまえ」
私にソファを勧めると自分も向かい側に腰を下ろした。
「栗本さんには色々ご苦労してもらって助かったよ」
「え、いえ」
「すっかり局内もキレイにしてくれたみたいで変な噂も聞かなくなった。感謝してるよ」
何だ? いつもと雰囲気が違う。いつもはふんぞり返って無理難題を押し付けて来るのに。もしかしたらこれから史上最凶の難題を押し付けてくるのかもしれない。ふ、みくびってもらっちゃ困る。私を誰だと思って……。
「これからは桜にやって貰うからもういいよ。お疲れ様」
……え。いきなりのクビ宣言!?
最初のコメントを投稿しよう!